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JCCLSニュース    
       
 

JCCLSとの出会いから十余年 ―会長就任に当たって―

 

(独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門(NMIJ/AIST) 研究顧問
(独)製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapan/NITE) 顧問  
今井 秀孝

この度は予期せぬ成り行きで、JCCLSの会長職をお引き受けすることになり、その責任の重さにとまどっているところです。専門外ながら1999年から7年ほど副会長を務めさせていただきましたので、これでお役ご免と思っていた矢先のご指名でした。
アメリカのNCCLS(現在のCLSI)を参考にして発足し20年余の歴史を築いてきたJCCLSは、臨床検査を専門とする大学の先生方が歴代の会長職に就かれるのが通例でしたが、計量標準分野で過ごしてきた物理・機械系出身の者がその役を担うことに当会員の皆様の方がとまどっていらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも私がJCCLSの活動に参画させていただいたのは、日本の計量法が大幅に改正されて、計量標準を国が主導して供給する体制(JCSS:Japan Calibration Service System)が明確に示された1992年(平成4年)から数年後のことと記憶しています。当時は臨床検査の分野においても日本の検査体制の拠り拠を明確にして、それが国際的にも通用するような透明で信頼性を確保することに重点が置かれようになりました。それに伴って計量標準のトレーサビリティ(metrological traceability)、測定の不確かさ(measurement uncertainty)評価などの新しい概念を導入することが必須となってきました。このような背景のもとに、知的基盤(Intellectual Infrastructure)としての計量標準の整備に研究面からも技術行政の視点からも国が力を注ぎ始めた時期に相当します。その直後に国際的に大きな動きがありました。それは、1999年のメートル条約もとでの相互承認取り決めへの署名です(CIPM-MRAと呼ばれています)。
これを機にして、計量機器・分析機器の校正(calibration)の分野のみならず、法定計量や試験所認定の分野でも同様の相互承認協定が設けられて歩調を揃え始めました。いわゆるワンストップテスティングの共通目標のもとに認定や認証に関わる適合性評価(conformity assessment)の思想が、品質マネジメントシステムの思想と同様に急速に広まってきたわけです。すなわち、計量標準や工業標準化のもとでの技術評価や適合性評価には、国際的な整合性の確保が不可欠であり、前者はメートル条約のもとで国際度量衡委員会(CIPM)傘下の専門分野別諮問委員会が、また後者では国際標準化機構(ISO)の適合性評価委員会(ISO/CASCO)がその活動の中心となっています。特に最近ではCIPMの事務局であるBIPMを中心に、関連する国際組織との間でいくつかの専門分野ごとに国際合同委員会が設置されています。当協議会にその国内対応事務局を置く「臨床検査におけるトレーサビリティ合同委員会」JCTLM(Joint Committee for Traceability in Laboratory Medicine)もそのうちのひとつです。
国内的にみても、この数年の間に私どもが関係する分野での活動は急速に活性化してきていると言えます。経済産業省の知的基盤整備特別委員会の中に、我が国の標準物質供給体制のあり方に関する検討ワーキンググループが設置されたり、計量行政審議会のもとに計量制度検討小委員会が設置されて、我が国としての基本的な方策の構築や国際的な協力の強化が進められているところです。そこでの議論では、臨床検査を含めた各分野での標準物質の開発・整備と国内の関係機関の連携の確保により、国内で一元化した標準物質供給体制を構築することが提言されています。
このようなタイミングから、小生のような背景をもった人間でも、現時点での臨床検査分野の発展に多少なりともお役に立つ場面があるのかもしれません。これまでの経験を生かすことができれば幸いです。標準や測定といった地味な分野の基盤を構築して、透明性・信頼性のある検査環境の整備や測定結果の評価が重要であることを再認識し、臨床検査の分野にもこれらの概念や技術を定着させられればと考えています。
昨年度からNPO法人化されたJCCLSも、2006年3月の理事会・総会において承認されたように、常任理事会による運営体制審議の場ができて、役割を特化した各委員会も再構築されました。標準化・国際・教育などといった特に体制整備が急がれる分野には、これまで以上に積極的な取り組みが期待されています。さらに私見を述べれば、上記の分担体制による当協議会の運営と情報の交換・共有が大切と思っています。幸いにもJCCLSのホームページが公開されて、その活用が大いに期待されています(URL:http://www.jccls.org)。また、国内外の関係他機関との連携も重要であり、当協議会の標準化委員会が(独)産総研計量標準総合センターの運営する国際計量研究連絡委員会との協力関係をもつようになったことは大きな前進です。ISO/TC212国内委員会やTLM委員会と共に、実質的な審議による成果が期待されます。また、広報活動や教育・啓発も大切であり、これらの具体的な対応策が待たれているところです。
現在のJCCLSにとって重要なことは、臨床検査標準の分野における総合的な中立組織として、国際的な連携のもとに我が国における基盤構築・技術開発・関連情報の発信と蓄積の場としての機能を一層充実させることにあると思います。総会・常任理事会・理事会・各種委員会・会員・事務局が一体となった日頃の活動の充実が必要不可欠です。特に事務局体制にはこれまで以上の機動力が要求されます。
会員の皆さまとともに、これらの課題に対して積極的な対応をして参りたいと思いますので、ご支援・ご協力のほどをお願い申し上げて、JCCLS会長就任のごあいさつとさせていただきます。

なお、今後の活動とも関係しますので、私が現在参画中の委員会等を記しておきます。

経済産業省関連:計量行政審議会委員(計量標準部会長)、計量制度検討小委員会委員(第3WG主査)、知的基盤整備特別委員会委員、日本工業標準調査会適合性評価部会委員、同基本技術専門委員会委員長
NMIJ/AIST関連:国際計量研究連絡委員会委員、標準物質認証委員会委員、RMトレーサビリティ認証委員会委員長
学会・協会関連:日本機械学会フェロー、計測自動制御学会フェロー、日本規格協会標準委員会委員長
国際関連:IMEKO(国際計測連合)日本代表理事、計量関連ガイド国際合同委員会(JCGM)ILAC代表メンバー(WG1/GUM及びWG2/VIM)

 
   
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