臨床検査室の認定
ISO 15189(臨床検査室-品質と能力に関する要求事項)による臨床検査室の認定
標準化と規格
「規格」とは、産業レベルにおいて標準化の結果を文書にしたものである。国際的な標準化の代表的な組織には、製品やサービス分野を扱う国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization; https://www.iso.org/home.html)と電気及び電子技術分野を扱う国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission; https://www.iec.ch/)とがある。
ISOには170余りの機関が加盟している。日本においては、経済産業省に設置されている審議会の日本産業標準調査会(JISC:Japanese Industrial Standard Committee; https://www.jisc.go.jp/index.html)がメンバーとして参加している。
日本臨床検査標準協議会(JCCLS:Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards)と
国際標準化機構専門委員会 (ISO/TC; International Organization for Standardization/Technical Committee)
近年、医療のグローバル化が進み、患者および健診(検診)受診者が自国の医療にとどまらず国境を越えて医療サービスを受ける傾向になっている。良質の医療を求め、患者および受診者が世界中を移動する動きに伴い、この国際規格の制定が医療分野にも普及してきている。こうした動きの中、1995年にISO内にTC 212 (Technical Committee 212)「臨床検査及び体外診断検査システム」が発足した。我が国において経済産業省のもと事務局は、JISCとJCCLSである。
JCCLS ISO/TC 212国内検討委員会の活動
ISO/TC 212には5つのワーキンググループ(WG)があり、活発な国際規格の作成・審議活動が展開されている。我が国においてもJCCLS内にISO/TC212国内検討委員会を設立している。
現在、ISO/TC 212/WG1 Quality and Competence in the medical laboratoryでは、ISO 15189 臨床検査室-品質と能力に関する要求事項の改訂作業が進められ、JCCLS ISO/TC 212国内検討委員会で審議されている。
臨床検査室の認定制度とJCCLS
我が国においては、2005年8月にJCCLSと日本適合性認定協会(JAB:Japan Accreditation Board; https://www.jab.or.jp/)で「臨床検査室認定プログラム」が共同開発され、国内の臨床検査室の認定制度を確立した。
臨床検査室認定とは、臨床検査(一般検査、血液学的検査、生化学的検査、免疫学的検査、微生物学的検査、病理学的検査、生理学的検査、遺伝子関連・染色体検査など)を実施する臨床検査室に対して管理上の能力と技術的能力を有していることをJABが国際規格ISO 15189に基づき審査を行い、臨床検査室を認定する制度である。我が国ではJABが唯一の臨床検査室認定機関であり、JABが認定した臨床検査室の検査報告書は、国際試験所認定協力機構(ILAC: International Laboratory Accreditation Cooperation; https://ilac.org/) の国際相互承認協定(MRA: Mutual Recognition Agreement)に基づき、世界に通用するものとなっている。