会長挨拶

臨床検査標準化事業を促進する推進力の役割を果たす

Play an important role as a driving force in promoting Clinical Laboratory Standards in Japan
Greeting from the JCCLS Chairman

会長

公益社団法人
日本臨床検査標準協議会

会長高木 康

 この度、公益社団法人日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の令和5~6年度の会長に就任しました。今後2年間、JCCLSのさらなる発展と我が国の臨床検査の標準化の充実に向けて奮励努力するつもりでおります。

 2018年12月1に施行された「医療法等一部を改正する法律」では「検体検査の品質・精度管理」が最重要ポイントであり、単なる「精度管理」から「品質保証」とワンランク広く深い臨床検査の品質が問われる時代となりました。そして、その1として外部精度管理調査への受検が(努力)義務化されました。現在、我が国では日本医師会(日医)や日本臨床衛生検査技師会(日臨技)主催の外部精度管理調査が実施され、大きな成果を挙げています。しかし、これらの外部精度管理調査では参加費用と参加項目等に問題があり、小規模検査施設では参加できていない状況にあります。これら小規模施設では限られた血液学検査や生化学検査を簡便な装置で実施しており、廉価で限定的な調査項目での外部精度管理調査を希望しているようです。このため、JCCLSでは令和4年度から小規模検査室を対象とした外部精度管理を実施することにしました。令和4年度は調査実施の周知が十分でないこともあり、110超施設の参加に留まりました。調査成績は思ったより優良であり、小規模施設であっても精確な検査成績を患者・医師へ返却できていることが確認できました。今年度は早い時期に実施調査内容の詳細をアナウンスして、さらに多くの施設が参加してくださるように周知を図りたいと考えています。

 厚生労働省に令和4年度の調査結果をご報告した際に、「医療DX(Digital Transformation)」の今後の発展のお話しがありました。情報の共有化の1つである電子カルテ情報の標準化等が重要であり、過去の検査結果のチェックが可能となることで、負担の大きい重複検査がなくなり、生活習慣病等に関連する検査結果をいつでも自分確認できるとしています。そして、」重複検査を削減するには検査値の均霑化が重要であり、この状況の把握には外部精度管理調査が有効な手段となります。

 2014年の医療施設調査によれば、病院(8,493施設)のうち検査の一部委託は6,269施設(73.8%)、一般診療所(100,461施設)のうち一部委託は3,7371施設(37.2%)とのことです。したがって、病院と一般診療合わせて43,640施設は自施設で臨床検査を実施していることになります。日医や日臨技外部精度管理調査での参加施設数は4,000程度ですから、約40,000施設では検査の精度について検証されていないことになります。これら施設ではJCCLSの小規模検査室を対象とする外部精度管理が必要であり、適切な評価を行う事で、検査の改善を図ることができると考えます。需要が極めて高いことが実感されました。

 JCCLSは、①標準物質の研究開発事業、②臨床検査方法等のガイドライン(指針)等の策定、③臨床検査の標準化に関する情報提供、④臨床検査の標準化に関する事業への共同・協力等の4つの事業は今後も継続して実施しますが、外部精度管理調査事業にも傾注する必要性を実感しています。評価は第三者機関が行う事が基本であり、公益化されたJCCLSが果たす役割は今まで以上に大きくなると思います。今後も我が国の臨床検査の標準化を担う中核組織として事業を展開するつもりでおります。ご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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